大槻 和弘(おおつきかずひろ)|相模原市議会議員(南区)

名古屋市を視察

自由民主党相模原市議団では昨日の豊川市に続いて、本日、名古屋市への行政視察を行いました。
リニア中央新幹線乗入れに係る駅周辺まちづくり構想、南海トラフ地震に対応した震災対策実施計画について担当者から状況を伺いました。

帰りの新幹線が遅延のためホームで待機、名古屋市の河村たかし市長にお会いしました。

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自由民主党相模原市議団 行政視察報告

【名古屋市】

日時:

平成30年1月25日 午前9時半〜11時半  名古屋市会 議会運営委員会室

対応:

名古屋市会事務局 総務課  古橋 様

視察項目:

  1. リニア中央新幹線開業を見据えた名古屋駅周辺のまちづくりの推進事業について
  2. 南海トラフ巨大地震の被害想定を踏まえた名古屋市震災対策実施計画の策定事業について

説明:

住宅都市局リニア関連都心開発部 主幹  高山 直明 様

防災危機管理局 危機管理企画室 主査  深川 和哉 様

提供資料:

.リニア中央新幹線の改行を見据えた名古屋駅周辺のまちづくり PP資料

.名古屋駅周辺まちづくり構想(平成269月発行)

.南海トラフ巨大地震の被害想定と名古屋市震災対策実施計画 PP資料

.名古屋市震災対策実施計画(平成2810月改訂)

.名古屋市震災対策実施計画 平成28年度の実施状況(平成2910月発行)

内容:提供資料に基づいて所管課担当者から説明があった。

【リニア中央新幹線改行を見据えた名古屋駅周辺のまちづくりの推進事業について】

①リニア開業による大交流圏域の誕生

2027年開業予定のリニア開業により、時間距離の短縮による交流圏の変化が生じる。

②リニア中央新幹線と名古屋駅

  • 名古屋駅へのリニア新駅の配置と用地取得の範囲および用地取得事務にかかる基本スキームの計画。

③名古屋駅周辺まちづくり計画

  • 交通基盤関連プロジェクト:スーパーターミナルナゴヤをめざす交通軸の整理…既存乗り入れ路線の入口がバラバラで導線が迷路となっているものをターミナルスクエアの配置で分かりやすい駅に改修。併せて、ユニバーサルデザインに基づく空間形成。
  • まちづくり関連プロジェクト:地下駅となるリニア駅の工事手法を開削工事とすることから駅上にできる広大な空間の利用をまちづくりの視点で地区間連携等の手法を用いて行う。(名古屋駅周辺部←→栄地区)
  • 防災性の向上:大規模地震発生時の帰宅困難者対策、浸水対策、高い防災性能を備えた建築物の整備促進。

主な質疑:

Q.まちづくり計画のスケジュールは?

.2027年のリニア開業迄に駅前広場、乗換え施設の整備と共に名鉄駅の拡大も計画している。

Q.まちづくりの手法は?

.土地再生地域の指定による制度を活用。公共性をインセンティブの基本としている。

Q.事業費は?

.私有地がほとんどなく、JRと私鉄事業者が用地を所有している。このため、市はまちづくりの構想を担当していることから事業者との調整をしている。

事業費ははっきりと確認できていない。

Q.まちの中心となる広場(JRの用地)の活用への公共性確保は?

.地元の意見を聞きはじめている。地元からは、防災機能の充実、駐車場や駐輪場の要望が出ている。

Q.まちづくりのポイントとされている名古屋らしさとは?

.名古屋城等のシンボルはあるが、交通システム(基幹バス)やビニモ等の新しい交通システムも名古屋らしさと強調したい。

Q.駅前の広場化でモニュメント(飛翔)はどうなるのか?

.移設ができるか検討している。 他

所感:相模原市においてもリニア神奈川県駅開設に向けて橋本で試掘が始まっている。複数の路線乗り入れの駅の改修と連携したまちづくりは地域の今後に大きく影響する。名古屋市の名古屋駅周辺まちづくり構想は、大規模なもので駅の様相が大きく変わるものである。迷路と揶揄されている名古屋駅が利用しやすいターミナルとなる予感を感じた。神奈川県駅の周辺に及ぼす影響と今後の相模原市の発展に必要となるまちづくり構想を注視したい。

【南海トラフ巨大地震の被害想定を踏まえた名古屋市震災対策実施計画の策定事業について】

  1. 名古屋市の特徴
  • 地形:中央部以東の良好な地盤に対して、北・西南部に拡がる地域は軟弱地盤に加えて海抜0メートル地帯を含む。
  • 人口:常時人口230万人、昼間人口259万人
  • 港湾:臨海部に工業、供給、運輸等の工業的土地利用が多く、名古屋港は日本一の取扱い貨物量となっている。
  1. 南海トラフ巨大地震について
  • 南海トラフでマグニチュード89クラスの地震が30年以内に約70%の確率で発生すると言われている。
  • 名古屋市での想定:過去の地震を考慮した最大震度(6強)、あらゆる可能性を考慮した最大震度(7)
  • 市内震度分布図、液状化可能性分布図、最高津波推移と津波到達時間予想図、浸水範囲および浸水深図、浸水開始時間予想図の解説。
  1. 名古屋市地域強靱化計画策定の経緯と概要について
  • 策定経緯:平成25年の国土強靱化法の施行伴い、平成26年に愛知県と名古屋市が国土強靱化地域計画策定モデル調査実施団体に選定された。同年から計画検討会議を重ね、平成2710月に「名古屋地域強靱化計画(地震災害)」策定
  • 計画の構成:ポイントは第3章で、名古屋市強靱化の現状と課題(脆弱性評価)「事前に備えるべき目標」と「起きてはならない最悪の事態(リスクシナリオ)」、強靱化に関する「施策分野」を設定し、現状について分析・評価を実施
  • 基本目標:強靱化基本目標に愛知県との協議で、他団体や他地域との連携強化、中部権の中心都市として強靱化に貢献することを加えた。
  • 名古屋市震災対策実施計画:平成26年の「南海トラフ巨大地震の被害想定」の公表から推進に向けた5年計画の策定、平成2810月に脆弱性評価の観点から事業拡充に向けた計画改訂を実施。
  • 災害対応力の向上:災害救助用物資の備蓄充実、非常用電源設備の機能強化、避難所の機能確保策の検討
  • 災害に強いまちづくり:橋りょう・河川堤防の耐震対策等、海抜表示の推進、建築物における天井脱落防止対策の推進。
  • 地域防災力の向上:避難所開設・運営訓練の充実、事業継続計画の策定支援事業
  • 防災啓発媒体の更新:ハザードマップやアプリの更新
  • 評価検証:平成28年度実施状況について評価基準に基づいて実施状況を評価。順調(177事業)、やや遅れ(14事業)

所感:名古屋市の震災対策の推進には、平成25年の国土強靱化法の施行、平成26年に愛知県と名古屋市が国土強靱化地域計画策定モデル調査実施団体に選定、平成2710月の「名古屋地域強靱化計画(地震災害)」策定が寄与していると感じた。被害想定に過去地震例を考慮した最大数値と、あらゆる可能性を考慮した最大値を想定し、ハード対策には過去最大値を、津波避難対策等にはあらゆる可能性を考慮した最大値を基に対策を規定している。昨今の災害発生には想定外と言い訳ともとれるケースもある中、市民の命に関わる対策事業には、想定外を想定しないで想定内に射程をおいた対策が必要と感じた。

投稿日:2018年1月25日