大槻 和弘(おおつきかずひろ)|相模原市議会議員(南区)

宜野湾市、沖縄市の基地対策を視察

相模原市議会基地対策特別委員会の行政視察で昨日は宜野湾市に、本日は沖縄市に伺いました。
宜野湾市では普天間飛行場の課題を、沖縄市では嘉手納基地に起因する騒音などの影響や再開発事業の課題など詳しく説明をいただきました。

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基地対策特別委員会 行政視察報告

【宜野湾市】

日時:

平成30年1月22日 午後2時〜4時 宜野湾市議会 第3常任委員会室

対応:

宜野湾市議会事務局長 東川上 芳光様

視察項目:

宜野湾市の基地対策について

・米軍基地(普天間飛行場、キャンプ端慶覧等)の現状と概要について

・基地に起因する事件、事故等の諸課題及び市民への影響について

・米軍基地の運用停止、早期返還と跡地利用に向けた取り組みについて

・普天間未来基金条例の制定について

説明:

基地政策部 基地渉外課 渉外係長 真境名(まじきな)由誠 様

基地渉外係 主任主事 崎原 邦子 様

まち未来課 まち未来係 係長 塩川 浩志 様

提供資料:

.普天間飛行場の現状と概要(まちのど真ん中にある普天間飛行場)

.普天間飛行場所属機の事故(平成2812月〜)

3.普天間飛行場跡地利用計画について、普天間未来基金条例の制定ついて

4.普天間飛行場の跡地利用計画策定に向けた「全体計画の中間取りまとめ」

5.普天間未来基金条例〜基地跡地に未来を〜

内容:提供資料に基づいて所管課担当者から説明があった。

【普天間飛行場などについて】

・宜野湾市域面積(約19.8㎢)の約4分の1を普天間飛行場が占め、またまちの中心部に位置している。市の北側に位置するキャンプ端慶覧を合わせると、市面積の約30%が米軍基地となっている。

・環境基準を超える騒音が、日常的になっていることから住民の大きな負担となっている。

・基地の存在による財政への影響は、宜野湾市の一般歳入の3%台で、基地関係収入に大きな依存はない。基地は市の経済発展を阻害している。

・沖縄県の基地と歴史的経緯

・普天間飛行場返還の経緯

・基地から派生する被害(騒音被害、米軍所属機による事故状況、地デジ受信障害など)

【普天間飛行場跡地利用計画について】

・駐留軍用地跡地利用に係る問題、課題

1.地権者の数が多い(普天間飛行場:3700名)

2.返還時期が不透明(普天間飛行場の移設が条件となっている。)

3.環境汚染(軍用地内の廃棄物、土壌汚染の課題)

4.財政負担(大規模な開発には市のみでは難しい。)

5.返還前の立入調査(返還期日の7ヶ月前では、充分な情報収集ができない。3年前を申し入れる。)

6.公有地の確保(9割が民有地。円滑な跡地利用には、計画的な公有地の確保が必要。)

【普天間未来基金条例について】

ふるさと納税制度を活用した基地跡地利用を推進。

1.駐留軍用地跡地利用の推進に向けた基盤整備事業等に係る費用

2.駐留軍用地跡地利用の推進に向けた調査及び機運醸成に係る費用

3.駐留軍用地跡地利用の推進に向けた本市の未来を担う人材育成に係る費用

4.その他市長が駐留軍用地跡地利用のために必要と認める事業

◎3の人材の育成では、宜野湾市内中学生の海外留学支援事業を展開。毎年10名程度を費用負担なく派遣。

主な質疑:

Q.地デジ受信障害の状況は?

.米軍機の上空通過で障害発生。700世帯に有線ケーブルで受信状態を確保している。

Q.騒音対策への取り組みは?

.基準値を超える騒音発生数は、平成28年末で11000を切っているが、夜間は増加傾向にある。

Q.返還時期の見通しは?

.2020年又はその後となっているが、移設が条件となっていることから見通すことが出来ない状況。

Q.受信障害の具体的な内容と対策は?

.NHK受信料減免については、嘉手納基地周辺では適用がある。普天間飛行場では、所属機の飛行により1〜3秒間のブラックアウト等の電波障害が発生している。このため、受信状況の良好な地点からケーブルを利用して改善を図っている。

Q.基地被害110番の状況は?

.日中は職員対応ができるが、夜間の騒音苦情ヘの対応に留守番電話対応をしている。夜間の苦情が多くなっている。

Q.飛行協定の締結は?

.平成8年に結んでいる。夜間の飛行停止等。

Q.飛行計画の情報提供は?

.基地を出る際の情報提供はあるが、飛来や訓練の情報はない。

Q.跡地計画の内、公用地の占める割合をどう計画しているのか?

.学校、公園、道路などに11.5ヘクタール位を想定。

Q. 駐留軍用地跡地利用の推進に向けた本市の未来を担う人材育成には、中学生の海外短期留学支援事業があるが内容は?

.これまで参加者には自己負担が半額発生していたが、負担がなくなった。留学先は米国、英語習得と基地の跡地利用の確認などが内容。他

所感:宜野湾市の基地対策について概要と課題を再認識した。普天間飛行場の返還について移設が条件となっていることから、返還時期は不透明であり、跡地利用計画も策定時期を確定できない宜野湾市の苦悩を理解できた。

また、相模原市に於いても、相模補給廠一部返還にむけては、返還前の事前立入調査など同様の課題があることから、宜野湾市との連携で情報収集を継続する必要がある。

【沖縄市】

日時:

平成30年1月23日 午前10時〜12時 沖縄市議会 委員会室

対応:

沖縄市議会事務局議事課長  中村 様

沖縄市議会事務局議事課   金城 様

視察項目:

沖縄市の基地対策について

・米軍基地(嘉手納飛行場、嘉手納弾薬庫)の現状と概要について

・嘉手納基地から派生する航空機騒音について

・基地に起因する環境汚染について

・米軍基地の移設、返還、再編に向けた取り組みについて

説明:

沖縄市企画部基地政策課  中田 様 ・ 石原 様

提供資料:

.沖縄市の米軍基地

.平成28年度 基地対策(概要版)

内容:提供資料に基づいて所管課担当者から説明があった。

【市内の米軍基地について】

・沖縄市域面積(約49720千㎡)のうち、34%が米軍基地となっている。

  • 嘉手納飛行場、嘉手納弾薬庫、キャンプシールズ、泡瀬通信施設、キャンプ瑞慶覧、陸軍貯油施設。

【米軍基地から派生する問題点】航空機騒音

  • 環境基準値57dBに平均値は納まっているものの、状況によって上回っていることがある。
  • 航空機騒音と共に低周波被害の苦情もある。
  • 沖縄市内の航空機騒音等に関する苦情件数は、平成28年では過去最高の206件、平成29年は3月末時点で前年の2倍以上となっている。
  • F35AライトニングⅡ戦闘機が、6ヵ月間の予定で飛来。F16等より騒音値が高い。平成2911月から嘉手納飛行場で訓練を開始したが1日に18件の苦情があり過去最高に。
  • 三連協(沖縄市、嘉手納町、北谷町)による目視調査を(年2回)実施。

【米軍基地から派生する問題点】事件・事故

  • オスプレイ等の所属機の墜落事故、ヘリの墜落や飛行場外への不時着、部品落下などが耐えない。
  • 軍属等の薬物、覚醒剤事件。殺人、強姦事件、酒気帯び運転など基地の兵士や軍属の事件が頻発。

【米軍基地から派生する問題点】沖縄市サッカー場の環境汚染問題

米軍嘉手納飛行場隣接の返還地に市が整備したサッカー場の改修工事の際に地中から遺棄物とみられるドラム缶108本見つかった。ベトナム戦争当時の枯葉剤製造メーカーの記載がドラム缶にあったことから沖縄防衛局と沖縄県が調査を実施。ドラム缶付着物や土壌調査の結果、環境基準値内と確認された。

【沖縄における在日米軍施設・区域に関する統合計画】

嘉手納飛行場以南の米軍施設の返還予定についての資料説明。

【米軍との共同イベント】

  • スペシャルオリンピック、沖縄マラソンなどを共同実施。

【沖縄市における跡地利用事例】

  • 昭和51年、52年に泡瀬通信施設より約130ヘクタール返還、沖縄県総合運動公園に利用。

昭和62年に嘉手納飛行場より約23.7ha返還、沖縄市サッカー場に利用。

主な質疑:

Q.基地関係歳入が市歳入全体に占める割合は?

.平成28年度で5.4

Q.低周波被害の状況は?

.オスプレイによる低周波被害の苦情がある。

Q.米軍との共同イベントが行われているが市民感情は?

.市の発展が基地の門前町的な側面を持っている。現市長(自民党)は、基地との共存策を進めている。市民には様々な感情があるようだ。

Q. NHKの受信障害の状況は?

.苦情は年に数件ある。沖縄防衛局の調査では市域内での障害は認められないとの見解がある。

Q.防音工事指定区域の真直しは?

.見直し再指定を要望しているが、未だ進捗がない。調査中。

Q.サッカー場で見つかったドラム缶の状況と中身は?

.形のあるドラム缶には石油系の物質が入っていた模様。潰れたものにはPCBなどの複数薬剤が入っていたのか。また、ドラム缶以外には空き缶、コンクリートガラ、木屑等が。撤去費用は10億円程度で、国が負担。沖縄市の負担は主に調査費で、国に補填を求めている。

Q.嘉手納飛行場の騒音の状況と三連協自治体の状況は?

.嘉手納町が滑走路に大きく面しているため、騒音被害が多い。タッチアンドゴーの訓練や風向きによって沖縄市や北谷町での騒音の苦情が多くなる。

Q.三連協の取り組み範囲は?

.嘉手納飛行場への対応のみ。他

所感:沖縄市の基地対策、特に嘉手納基地に係る、騒音被害、事件、事故について概要と課題の説明を受け、状況を再認識した。キャンプキンザ−の移設に伴う牧港補給地区の倉庫群の市内への移設については、基地の整理縮小と地域課題解決や地域振興に方向性が見えたことによる受入れ決断となった。沖縄の基地事情の中で、市民福祉との共生の難しさを感じた。また、サッカー場の廃棄ドラム缶等の遺棄物については、返還後の利用が始まった後に発見されていることから、宜野湾市の持つ課題と同様に返還用地の事前確認を十分に行える期間を確保できるよう、時期の前倒しを国、米国に求めていかなければならない。

投稿日:2018年1月23日