大槻 和弘(おおつきかずひろ)|相模原市議会議員(南区)

9月定例会議 一般質問

9月26日(木)の9月定例会議本会議で、一般質問を行い、市長の見解を質しました。

概要を以下の通り報告致します。

1 地球温暖化対策について

大槻:昨今の台風の強大化や豪雨など、今後もさらに自然環境や人間社会が大きな影響を受けるおそれがある。大きな原因である地球温暖化対策は喫緊の課題、市の対策は?

市長:現在策定中の次期計画で、温室効果ガス排出量の新たな削減目標を設定し、再生可能エネルギーの利用や省エネルギー対策の促進、気候変動に強いまちづくりの推進などに取組む。

大槻:農地の上に太陽光発電設備を設置し、営農を続けながら発電事業を行うソーラーシェアリングが注目されている。市の考え方は?

市長:次期「地球温暖化対策計画」の中で、太陽光発電設備の導入促進を図る新たな取組の一つとして検討する。

大槻:照明設備のLED化が地球温暖化対策として効果的だが、市の道路や学校施設、公園等の水銀灯からLED照明への転換の取組は?

市長:大半の公園で園内灯に水銀灯が残っていることから、今後、積極的にLED化を図っていく。

*大槻(要望)

 相模台地区の公民館など、公民館のロビーは暗いとの市民の声がある。また、照明には水銀灯が使われているところが多いと承知している。省電力化と照度アップのためにも、LED化による改善をお願いする。

2 真の共生社会の実現を目指して

(1)共生社会の実現に向けた市の取組と認識について

大槻:津久井やまゆり園での事件から3年が経過したが、市では、障害者や障害者の理解促進に向けて、どのような取組を行っているのか? また、理解は促進されていると認識しているのか?

市長:津久井やまゆり園事件を二度と起こさないという決意のもと本市では、あらゆる人の尊厳が守られ、安全で安心して暮らすことのできる「共にささえあい生きる社会」を実現するための取組を進めている。

 障害等に関する理解の促進を図るため、啓発動画やラッピングバスの運行のほか、障害者スポーツの普及を目的とした体験イベントや障害者週間のつどいの開催などに取組んでいる。日頃から障害や障害のある方を身近に感じていただき、より一層、障害等に関する理解が進むよう取り組んでいく。

(2)障害者差別解消法施行後の状況について

大槻:障害者差別解消法が施行されてから3年が経過しているが、本市における相談事例やその対応、これまでの取組状況は?

市長:障害者の差別や合理的配慮に関する相談事例としては、障害を理由としてアパートの入居を断られた方に、別のアパートを探して紹介した事例や、目の不自由な方からの要望で、字を拡大して通知書を送付した事例などがある。引き続き、様々な機会を通じて、法律の趣旨や合理的配慮の周知啓発に努める。

(3)人権施策の推進に向けた考え方について

大槻:現在、ヘイトスピーチの規制を含め、国籍や性別など人権施策に関する条例や障害者の差別に関する条例の検討が行われているが、どのような認識で人権施策を進めていこうとしているのか?

また、条例制定を目指すなら、認知症高齢者など、人権に関わる施策を、広く一元的な条例とし、全庁横断的に取組が推進できる条例が望ましい姿と考えるが、市長の見解は?

市長:誰もが安心して心豊かに暮らすため、性別、年齢、障害の有無、民族や国籍等の違いにもかかわらず、一人ひとりが、互いの人権を認め合う共生社会の実現が重要である。

本年1月に改定した「相模原市人権施策推進指針」に基づき、人権に関する教育や啓発など取り組み、より実効性を持たせるため、人権に関する条例の制定に向け、取り組んでいきたいと考えている。

この条例の対象とする人権の範囲や構成については、人権課題等を踏まえ、人権施策審議会や弁護士等の専門家、市民の意見を伺いながら検討する。

3 防災対策について

(1)境川に係る防災対策について

 (ア)洪水時における避難情報について

大槻:大雨による境川の水位上昇に伴い、避難情報を発令することになっているが、本市と町田市で避難情報発令のタイミングにズレが生じている。平成29年の台風第21号においても、町田市で先に避難情報が発令されている。町田市との情報共有についての取組と、事例を災害対応に活かしているのか?また、先日の台風15号での対応は?

市長:町田市との発令時期相違の課題については、町田市、大和市及び本市で構成している「三市合同防災対策連絡調整会議」において、避難情報発令のタイミングを可能な限り揃えるよう確認した。その後、大雨等により境川の増水が見込まれる場合には、水位等の避難情報発令の基準に加え、電話等の通信手段で確認した各市の災害対応状況を判断材料としている。

また、台風第15号への対応については、事前に町田市と情報共有及び災害情報発令時期について協議し、同時に「避難準備・高齢者等避難開始」を発令した。

 (イ)洪水ハザードマップによる市民周知について

大槻:平成30年1月に境川の洪水浸水想定区域が見直され、洪水ハザードマップの改定を進めているが、隣接市の避難場所や浸水想定区域を併せて掲載し、的確な避難行動につなげる考えは?

市長:境川の洪水等にかかる情報の周知には、対岸の町田市や下流の大和市の情報もできる限り周知することが、より安全な避難経路の把握や的確な避難行動につながることから、現在改定中の境川の洪水ハザードマップにも、町田市や大和市と連携し、両市の避難場所や洪水浸水想定区域等についても掲載したい。

 (ウ)水難救助訓練について

大槻:境川は、町田市、大和市にまたがっている。市が一体となった取組が重要で、3市が連携した水難救助訓練を実施しているが、経緯と内容は?

市長:平成25年10月に発生した台風第26号の影響で、町田市森野付近で増水した河川に女性1名が流された事案を踏まえ、平成26年度から毎年、3市合同による訓練を実施している。

訓練は、実際の災害時案を想定して、救助用ネットなどを活用した訓練を行っている。

(2)避難所運営協議会について

(ア)複数のまちづくり区域に係る避難所運営協議会について

避難所運営の課題

大槻:避難所運営協議会が、複数のまちづくり区域をまたいで構成される場合には、一体感や意思疎通の面で支障が生じる場合があるとも聞いているが、このような避難所運営協議会は、市内にどのくらいあるのかと、運営訓練の実施状況と課題は?

市長:市内では、こうした避難所運営協議会が11箇所あり、防災訓練の実施状況については、避難所の開設や避難者の受け入れ、仮設トイレの設置などの基本的な避難所運営訓練のほか、協議会によっては、「リアル避難所体験」と題して、新聞紙によるスリッパやビニール袋による雨具等の製作の実演や展示などを実施しているところもある。

課題は、異なるまちづくり区域のため、日頃の交流が少ないことから協議会としての一体感の醸成や意思疎通が図りづらいことがある。

(イ)避難所運営の支援における南区役所の役割について

大槻:複数のまちづくり区域をまたぐ避難所運営協議会に対して対策を求める声があることから、区役所がより積極的にサポートする必要があると考えるが、区の運営支援についての考え方は?

市長:南区においては、避難所運営協議会による自立的な活動が継続的に行われるよう、活動状況の把握に努め、訓練内容などについて助言を行っている。

 また、まちづくり区域をまたいで構成される避難所運営協議会では、円滑な活動に支障が生じる恐れがある場合には、区役所として、自立的な活動が行われるよう、柔軟かつ丁寧にサポートする。

4 市民生活を脅かす有害鳥獣被害について

(1)鳥獣被害の現状と課題について

大槻:市域全域を対象とした鳥獣被害防止計画が策定され、本年度から対策が講じられているが、本市における野生鳥獣による被害の現状と課題は?

市長:平成30年度の農作物被害面積は、3.32ヘクタール、被害件数は544件。鳥獣被害の傾向は、津久井地域では、イノシシやニホンザルなどによる被害が多く、旧相模原市の区域では、アライグマやハクビシンなどの被害が主なものとなっている。

課題としては、営農意欲の減退,荒廃農地の拡大や、近年では、野生鳥獣の出没が脅威となるなど、影響が拡大していること。

(2)全市的に拡大している鳥獣被害への対策について

(ア)アライグマやハクビシンへの対策について

大槻:中央区や南区では、サルや鹿などの被害はないが、アライグマやハクビシンなどの小型の野生動物による生活被害があり、緑区でも被害が発生している。被害への対応と取り組みは?

市長:アライグマについては、根絶に向けて、積極的な捕獲を実施してる。ハクビシンについても、屋根裏に営巣するなど、生活環境に影響を及ぼしており、自衛策を講じても被害が止まない場合には、捕獲を実施している。

 被害防止には、動物を建物などに寄せ付けないことも重要なため、市ホームページなどを通じて、具体的な対策の普及・啓発に取り組んでいる。

(イ)ニホンザルへの対策について

大槻:ニホンザルについては、神奈川県が定める計画に基づき、取組んでいるが、ニホンザルの管理計画では、他の都県と違い、人との共生を基本的な考えとしていることから、被害を受けている市民の思いとは乖離している。

 市ではニホンザルについては捕獲だけではなく、追い払い対策にも取り組んでいるが具体的な取組は?

市長:本市では、箱罠等による捕獲のほか、自主防衛組織や追払い監視員、猟友会等により追払いを実施している。

また、GPS基地局の設置を進め、ニホンザル個体群の位置を出没が予想される地区へ事前に周知するなど、被害の軽減に向けた取組を進めている。

*大槻(要望)

 ニホンザルについては、南区でも市街地への侵入が確認され、憂慮すべき事態と考えている。

津久井地域の団体からは、狩猟者の後継者不足の解消に向け、若年層への働きかけの強化について要望が出ているが、市は担当する部署を明確にし、ハンター確保などの対策に具体的に取り組むことが必要だ。

また、被害対策に効果を上げている他市を参考に、必要な予算を確保し、効果的な取組を要望する。

 鳥獣被害は、対策を講じなければ際限なく被害が拡大することを懸念している。市民が受けている現実的な被害に対して、手立てを打つことが行政の役割であり、使命でもあることを指摘するとともに、対策の強化を要望する。

投稿日:2019年10月4日